AV機器は今後来るソフトウェア化の波に対抗できるのか? (パナソニックブロガーイベントレポート)
3/1(木) に六本木ヒルズカフェで開催された『VIERAとDIGAで実現する「スマートAVライフ」ブロガーイベント』に参加してきました。うちの家のAV環境は、CATVのSTBがパナソニックのHDDレコーダ付きになって以来、ビエラリンク縛りにまんまとはまり、TVは37インチのVIERAに他にはDIGAが2台という構成のパナソニック一色になっています。今回のイベントのアナウンスを聞いた時に、これはもう参加するしか無いと妙にテンションが上がって申込みを行い、無事に当選をゲットした時にはかなり嬉しい思いでした。
会場は六本木ヒルズカフェ
ブロガーイベントの開場は、六本木ヒルズ2階のヒルズカフェです。期間限定のイベントがよく開催されていますね。今回 3/3(土)〜3/11(日)まで「パナソニック“スマートAVライフ” タッチ&トライイベント in 六本木ヒルズ」が開催されていて、その会場を会期前にブロガーイベントに使用したということのようです。会場には参加者用に無線 LAN によるインターネット接続も提供されていて、後述の電源と共に至れり尽くせりでした。
各テーブルに専用コンセントが用意されている充実っぷり
今回の会場は翌々日以降の本番イベントの前に、ブロガーイベント向けに一時的に机を並べたと考えられます。にも関わらず各テーブルのクロスに隠れた場所に専用コンセントが各人に用意されていて、これほど気を使って会場をセッティングしていたブロガーイベントは初めてでした。
TVにアプリを追加インストールできる「VIERA Connect」
以降は今回のイベントで解説された内容で、自分的に気になったものを取り上げていきます。
まずはテレビである VIERA の解説をする山崎さん。
VIERA 上にアプリケーションを追加する仕組みの VIERA Connect。パナソニックの独自技術である「Ajax-CE」という JavaScript のフレームワークで動作します。開発者向けのワールドワイドサイトが用意されており、そこに登録すると各種技術情報が得られるということのようです。
まだここに登録していないので詳細は分かりませんが、一般でも見える部分の記述から見ると HTML のようなブラウザベースの技術ではなく、独自 GUI ライブラリの制御に JavaScript エンジンを使用しているということのようです。
国外で販売されている VIERA ではすでにこの機能は搭載されており、多くのサードパーティアプリが登録されているようです。
Twitter, Skype, Facebook などメジャーなものはひと通りあるようでした。
で、TV で汎用アプリということで気になるのが文字入力です。通常のリモコンの十字キーを駆使して入力する方法の他に
- VIERA Remote で iPhone / iPad / Android に対応しているので、そちらから文字入力する。
- サポート対象外だが大抵の USB キーボードは挿せば使えるのでそちらを使う。
という方法があるそうです。
DLNAをフルに使った「お部屋ジャンプリンク」
取り上げられたのは DIGA の「お部屋ジャンプリンク」機能です。
最初に「お部屋ジャンプリンク」という言葉を聞いたのはずいぶん以前のことですが、その時には視聴途中の番組を何かしらない独自技術で別の部屋に飛ばすのかなーと勝手に想像して、それ以上深くは調べていませんでした。今回のイベントでその辺が明確になりましたが、「お部屋ジャンプリンク」とは何のことはない DLNA のサーバー / クライアント機能のことです。ただ HD レコーダーのローカルに保存されている番組リストと同じ感覚で扱えるように、UI はこれまでのものからかなり変更しているとのこと。同一 LAN 上の DLNA サーバーに保持されている動画リストは、ローカルのものと同様の GUI デザインで複数サーバのものが混在して一覧表示されます。UIとしてはとてもシンプルで良い感じです。
新型お風呂テレビ「SV-ME5000」
そしてお部屋ジャンプリンクを上手く生かした例として、新型お風呂テレビを説明するのが奥本さん。
パナソニックは新型お風呂テレビである「SV-ME5000」を 3/15 に発売します。
この製品の特徴は、
- 10.1インチディスプレイ
- 地デジアンテナ内蔵。フルセグ放送が見れる。
- バッテリ内蔵。2時間程度はバッテリ動作可能。
- 防水。付属のリモコンは水に浮く。
- 無線 LAN 内蔵。
- もちろんお部屋ジャンプリンク対応。(DLNA クライアント)
となっていて、注目は最後の「お部屋ジャンプリンク」対応です。つまり風呂にいながらにして、無線 LAN 経由で DIGA に録画した番組を視聴できるということですね。これはかなり良さ気です。風呂にゆっくり浸かりながら、HDD に溜まっている録画番組を消化できるとかなんと嬉しいことか。思わずその場で価格コムの最安値を確認してしまいました。その時点では 45,000 円強です。ちょっと高めだけど買っちゃうかも知れないなーと思ったり。
ハードウェアとしてのテレビは生き残れるのだろうか?
後半の質疑応答で、友人の @makotokaga がこんな質問をしました。
今回紹介されたような機能は、古い製品ではサポートされていないものもあるが、ソフトウェア更新によるファームウェアアップデートで新機能に対応することはできないか?
それに対する回答は
古い機種はハードウェアスペックの問題もあるので、対応はなかなか難しい。
と、まぁ想像通りの返答でした。しかし自分は、その返事を聞いた時にこの点が何か引っかかっていました。
帰宅してそのことについてしばらく考えて、つまりその発想こそがハード屋のビジネスの限界なのだと気づきました。現在、あらゆる製品の売りはハードウェアからソフトウェアにどんどん移っています。テレビやレコーダーのような AV 製品もその例外ではなく、だからこそ今回「VIERA Connect」「お部屋ジャンプリンク」のようなソフトウェアによる付加価値をアピールする場となったのでしょう。
でもハードウェアのラインナップを揃えて、上位機種にのみ付加機能をつけて高く売るというこれまでの販売モデルは、未だに温存されたままです。ソフトウェアの実行環境としては大して差がないはずなのに、営業的な理由でローエンドな機種や過去の機種は、新機能の恩恵が受けられないのが現状です。
おそらくこのモデルは、遠くない未来に廃れるのではないかという予感がしています。Apple がスマートテレビを開発しているのはもはや周知の事実ですし、その製品ではおそらくソフトウェアを中心として機能定義された設計となっているはずです。ハードウェアラインナップは、ソフトウェアを効率良く動かすための構成要素の優劣でしか無く、基本的にはすべての機能が全ての機種で動くことが期待できるものとなるのでしょう。
このソフトウェア更新によって製品の価値が長期間担保されるという新しいモデルのテレビが現れた時に、現在のTVメーカーは果たして対抗できるのでしょうか? iPhone の登場によって携帯電話のビジネスが劇的に変わったように、TV ビジネスの激震も徐々に近づいているのかも知れない、そんなことを感じたイベントでした。
おみやげはエコバッグ
ステマが問題になる昨今、頂戴したものはちゃんと情報公開しておかないとですね。
こんな箱に入っていたものは
ベネトンのエコバッグでした。どうもありがとうございました。
今回撮影したその他の写真はこちらから。
www.flickr.com |