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こいほげが技術以外のことを書くブログ

レヴェナントを観てきた

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「レヴェナント:蘇りし者」の、新宿ピカデリー 5月6日20:50の回を観てきた。今年のアカデミー賞で監督賞、主演男優賞、撮影賞の3冠を達成して、日本でもそれなりに盛り上がっている本作。観客も200名以上入ってたんじゃないかと思う。

不幸な事故と多少の悪意が重なって、どんどん悪い方向に転がっていく形のストーリー展開。実話ベースの物としてはよくある形なので、物語構成の点で特に感動するところはない。

見るべきは、オスカーを獲得した撮影と音響

この作品はカメラの長回しがとても多い。しかも定点で止まっているカットはほとんどなく、ゆっくりにせよ急激にせよ、常にカメラが移動している。全景からキャラクターのアップに行ってさらに再び全景に戻るなんていう長回しも大変多く、しかも被写界深度の浅い、ピントが合う範囲が狭いレンズで、移動する被写体をきっちり追いかけている。背景をきっちりぼかしながら、移動する顔の一点にピントが合うなんて神業、どうやっているのか見当もつかない。何らかの合成技術を使っているんだろうか?

それと音場の設計がものすごい。

例えば林のシーンで、画面外の右側、サラウンドだと右後ろの方から「カサッ」という音がしたあと、画面内の登場人物がそちらに注意を向けて、それに合わせてカメラも右側にパンする、という一連の流れが実にスムーズに行われる。観客が集中している静かな劇場内での最初の「カサッ」も含めて、観る者を臨場感に放り込むテクニックに関して群を抜いて高い。

注意をどこに向けさせるかという演出が隅々まで徹底していて、これは全天球映像作品ではないけれど、全天球映像の演出はこうあるべきという見本になっているようにも思えた。